インフレーションについて

トリックスターのようなMMORPGもまた、経済活動と同じように緩やかなインフレーションを維持することにより世界の活発化が促される構造をもっています。

不特定多数のプレイヤーが一種の競争、共存の社会を形成しています。
現実違ってトリックスターの場合はプレイしておらず長期間放置していても自身にとってマイナスの要素となる絶対的要素は殆どありません。
（課金装備のタイマー期限やID削除、期間限定のイベントなどはこれに該当しません。期限を設けることでプレイヤーへのモチベーションを高めている役割があります。）

しかしそうなると、ゲーム運営として大きなデメリットが二つあります。
・変化のない要素のため飽きる
・長期間プレイしている人のアドバンテージを新規プレイヤーが覆すことが難しくなるため、競争原理が機能しにくくなり全体としてプレイヤーのモチベーションが下がる（新規参入プレイヤーも含む）

そのため、運営としては定期的に新要素を追加していくことでゲームを盛り上げていかねばならない、ということに通常はなっています。

新しい要素というものは、既存の要素を上回るメリットを可能性として保持してなくてはなりません。そうでなくては誰もやりたがらないため、変化としての用をなさないためです。
だんだんと進化という名の変化が続いていくわけですが、基本的には扱われる数字はだんだんと大きくなり、要素も増えるためゲーム全体のバランスを取るのは難しくなる一方でありましょう。

その歪さもまたプレイヤー同士の取捨選択の中である程度淘汰されていくといっても、当然限界があります。ユーザーの許容を超えるような内容であれば、むしろゲーム全体の寿命を縮めることに繋がります。

具体的な部分で何を以てバランスがとれ、ユーザとして満足度が高く、運営側も利益をあげられるのかという状態をあげることはここではしませんが、オンラインゲームとしてはそれなりに長い歴史を歩んできているだけに、トリックスターもまた常に大きな転換点をいずれ強いられることになるかもしれません。

既存の価値が大きく破壊されるような内容であればユーザの反感を買うのは必至ですけれども、万人が納得するような術などありようはずもありません。
最初にあったシステムから徐々に付け足しが行われているわけですが、最初のシステムの器が付け足されたものに押しつぶされないよう、どこかで基本のシステムを大々的に改造しなければ少しずつの変化で生まれ、広がっている歪さが解消されなくなり、そのためにユーザが離れていってしまう危惧もあります。

試行段階で正式にリリースされている製品ならともかく、一度サービスが動いてしまっている以上、なかなか変えがたいだけに、今後の運営の動向が気になるところです。